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新しい決済の仕組みをデザイン
製品やサービスを体験した後に価格を決める「あと値決め」

1.プロジェクト概要OUTLINE

「感じた価値を価格に変える」新しい決済の仕組みを世に送り出すUX/UIデザイン

株式会社ネットプロテクションズ様(以下、敬称略)が仕掛ける新しい購買・決済の仕組み「あと値決め」のUX、VI、UIのデザインを担当しました。

UX設計に際して、ユーザーがサービスの利用を検討する時の感情や、「あと値決め」に対する反応などをインタビューにてヒアリングし、「あと値決め」の価値を再定義しました。その上で、市場調査やユーザービリティテストを織り交ぜることで「あと値決め」の体験を設計。最終的に、恣意性なくユーザーが価格を決定できる体験を設計しました。
UIフェーズではUX設計をベースに、「あと値決め」のサービス価値の最大化を目指しVI、UIデザインを行いました。

あと値決めとは

販売者や提供者側が料金を提示するのではなく、ユーザーが製品やサービスを購入、もしくは使った“あとで”支払い料金を“自分で決める”ことができる、ネットプロテクションズの新しい決済の仕組みです。

インターネットが進んだ現代、ユーザーは使ってみたい商品があっても、ネット越しの数少ない情報や口コミから買うべきか、自分に見合う価値があるかを判断するしかなく、購入に対する不安があります。また事業者も、商品の品質に自信はあるもののネットでは良さが伝わらないという課題を持っていました。

そんな両者の課題解決を目指しているのが、「あと値決め」です。

事業者が「あと値決め」を導入することで、ユーザーは臆することなく新しい商品を利用・購入することができ、事業者にとっても潜在顧客に商品を利用してもらいやすくなる、そんな世界を目指しています。

アウトプット

プロジェクト全体像

プロジェクト実施内容
・取り組みの調査・要求定義
・リクルーティング
・デプスインタビュー
・レポーティング
・加盟店LPWF制作
・価格回収フォームWF制作
プロジェクト期間
・加盟店LP/価格回収フォームのUXデザイン:2019年1月〜2019年3月(3ヶ月)
・ロゴ/価格回収フォームのUIデザイン:2019年4月〜2019年6月(3ヶ月)
体制
クライアント
・株式会社ネットプロテクションズ様
ニジボックス
・プロデューサー:1名
・チーフUXデザイナー:1名
・UXデザイナー:1名
・プロジェクトマネージャー:1名
・アートディレクター:1名
・チーフUIデザイナー:1名
・UIデザイナー:3名

2.ミッションMISSION

後から価格を決めるという"馴染みがない体験"を設計し、具体化する

“感じた価値を価格に変える”という体験は日本でも一部では取り入れられているものの、文化やサービスとしては成立していない領域のため、ユーザーに受け入れられない可能性がありました。
“どのようにして誰も経験したことがない体験を設計し、具現化するか”という問いに答えることが、プロジェクト成功のために最も重要なミッションでした。

3.プロセスPROCESS

最適なUX/UIデザインを作り上げるために、ビジネス戦略からヒアリング

ニジボックスのUX/UIデザインは見た目や使いやすさだけではなく、常に「ビジネス戦略」「UX」「UI」の一貫性を評価軸に行なっています。「あと値決め」の場合も、ネットプロテクションズ社内のプロダクトオーナーと向き合い、発想の背景、現在、未来までを綿密にヒアリング。また、ネットプロテクションズが目指す方向性や現在の状況、既存事業とのシナジーなど、「あと値決め」を一緒に作り上げるために相互理解を深めることから始めました。
そこでヒアリングした事項をプロジェクト全体の価値観や強みとして、デザイン全体に取り入れています。

ユーザーにとっての「あと値決め」の価値を検証

“ユーザーにとって、自分で値段を決める体験は本当に必要なのだろうか?”、あえて疑いの眼差しを向けることからスタートした私たちは、ユーザーがどのような価値を感じるのか検証するためにインタビューを実施しました。 インタビューの際には、9コマのストーリーボードを用いて「あと値決め」が提供する体験をインタビュー対象者に視覚的に理解してもらい、より正確なユーザーの声を引き出すことを目指しました。

インタビューの結果、対象者全員が「あと値決め」を使ってみたいと回答。このプロジェクトがユーザーにとっても価値のあるものだと確信を持ちました。また、ユーザーは「あと値決め」を導入した事業者に対しても、「あと値決めを導入できるくらい商品の品質が高い」と感じることがわかり、「あと値決め」の新たな価値を発見することができました。

徹底的に行った市場調査。そこから見えてきた「あと値決め」を支える仕組み

「あと値決め」全体のシナリオを元に価格回収フォームでユーザーにしてもらいたい体験を以下の2つで定義しました。

1.  サービスへの満足度を自覚すること
2.  感じた満足度を価格へ変換すること

特に②に関しては、「あと値決め」で大切にしたい価値観として、ユーザーが恣意性を感じることなく、自分が感じた価値をそのまま価格へ反映してほしいという思いがありました。
好きに価格を入力できるフリーフォームの場合、恣意性を与えることはありませんが、その反面、入力の自由度が高すぎるとユーザーは悩んでしまい、離脱につながります。
ユーザーに恣意性を与えずに、スムーズに価格を決めてもらう方法が必要でした。

そのため私たちは、日本・海外問わずプライシングに関する論文や資料を調査してインプットし、価格を決めるために必要なメカニズムを整理しました。その上で、類似の体験がないか市場調査を行い、恣意性なく価格を決めることができ、かつ意思決定の補助となる「みんなの値決め」という価格回収フォームの仕組みを考案しました。

参考:
Kunter, M. (2015). 「Exploring the pay-what-you-want payment motivation. Journal of Business Research, 68(11), 2347-2357」
Kim, J.-Y., M. Natter & M. Spann(2009) 「Pay What You Want: A New Participative Pricing Mechanism,” Journal of Marketing, 73」
林 釗・大藪 亮「参加型価格決定メカニズムに関する一考察:Pay What You Want方式を中心として」

ユーザーの声をもとに、“自分で値段を決める”体験を突き詰める

設計した価格回収フォームを元に、ユーザーが本当に想定通りの体験を行ってくれるのかプロトタイプを用いてテストを行いました。
すると、サービス利用前は「自分で価格が決められるなら安い価格をつけたい」と意見を言っていたユーザーも、サービス利用後に自身で満足度を自覚し、みんなの値決めを元に価格を決定してもらうことで、自分の価値観に応じた価格を設定してくれることがわかりました。
また、プロトタイプ時点では満足度に応じた値決めを実現できるよう、ユーザーに馴染みのある星の5段階の項目で価格を決定してもらうUIでしたが、ユーザーは「もっと細かく価格を決定したい」と思うことが判明しました。
テストの結果を踏まえ、“価格を決定することができること”と“価格を決めるという動作を通して、より細かく価値と価格のすり合わせができること”の2点を満たすUIに変更しました。

UX設計をベースに、UIでサービスの強みを最大限に広げる

ネットプロテクションズからヒアリングした、「あと値決め」の価値や大切にしたい想い、今後の展望を、ビジュアル戦略へと落とし込みます。ビジュアル戦略をデザインに落とし込む過程では、構築したビジネス戦略〜UX戦略と齟齬がないか、適切に価値は伝えられているか、丁寧にその達成度を確認しつつ“感じた価値を価格に変える”UIデザインを行いました。

4.結果RESULT

ビジネスに活きるUX/UIデザイン

今回、「あと値決め」というこれまでにない仕組みを実現するために、ネットプロテクションズが考案したサービス価値を、ユーザー体験に落とし込み、それが叶うUX/UIを作ることを目指し、プロジェクトを進めてきました。
その結果、ネットプロテクションズからは「言葉に仕切れないあと値決めの思いをVIやUIで伝えることができているため、営業や社内共有で活用している中でもすでに印象形成や関係構築として役立っている」という言葉を頂きました。

今後「あと値決め」というプロジェクトが、ユーザーと事業者を繋ぐ新たな方法として、世の中に浸透していくことを願っています。

お客様の声

株式会社ネットプロテクションズ

専光 建志さま

「あと値決め」を起案した時点から“伝え方で全てが決まる”と思っていたのですが、サービス仕様上の不確定要素も多かったため、プロジェクトに並走しながら体験設計をしてくれるようなパートナーを探していました。
そんな中ニジボックスさんは、「あと値決め」の思想、ビジネス視点、ユーザー視点に寄り添い続け、当初の与件にはなかったことも含めて真摯に取り組んで頂けました。
弊社からの要望を鵜呑みにするのではなく、結局の課題を整理し、ユーザー心理を捉えて絵に落とすという修正対処をし続けてくれたことにはとても感謝しています。
最終のアウトプットは営業や社内共有で活用させて頂いている中でもすでに印象形成や関係構築として役立っているため、長期で活躍するデザインだと確信しています。
「あと値決め」はまだ文化として成立していない新しい概念ですが、たくさんの人の協力を経て、世の中に浸透していってくれると嬉しく思います。