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ビジネスモデルキャンバスとは?活用のための3つのステップ

ビジネスモデルキャンバスとは?活用のための3つのステップ

2020.1.10
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ビジネスモデルを可視化するためのフレームワーク「ビジネスモデルキャンバス」。
新規事業のビジネスモデルを考えるにあたり、必要な要素と、その関係性や全体像を把握することに適しています。
この記事では、ビジネスモデルキャンバスを使用するメリットや、他の類似フレームワークとの使い分けについて解説します。

ビジネスモデルキャンバスとは?

ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスの構造を可視化したフレームワークです。
アレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールによって開発されました。

新規事業を立ち上げる際、自分たちのビジネスモデルに対する理解を深め、社内や出資者への説得力のある説明が必要になってきます。
既存事業においても、現状確認を通じてビジネスモデルの優位性や弱点の発見をすることで、より強固なビジネスモデルにブラッシュアップすることができます。
その際の、組織内で共通認識を持つための設計図と言えます。

ビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素

ビジネスモデルキャンバスは、9つの要素から構成された1枚のシートであることが特徴です。
ビジネスモデルキャンバスの図

【1】 顧客セグメント(CS:Customer Segments)

「誰に価値を提供するのか」「最も重要な顧客は誰なのか」を記述します。
顧客をグループ化し、どのセグメントに関わるのか、あるいは関わらないのかを設定し、属性や利用目的などでセグメント分けをします。

【2】 価値提案(VP:Value Propositions)

特定の顧客セグメントに対して、「どんな価値を提供するのか」「どういったニーズを満たすのか」を記述します。
企業が提供する製品・サービスの内容のことを指します。
顧客セグメントごとに提供価値を考えていきますが、整合性がわかりにくい場合は、このブロックだけを抽出したバリュープロポジションキャンバスや価値・顧客シートによる検証や顧客分析を行います。(後述)

【3】 チャネル(CH:Channels)

特定の顧客セグメントに対して、「どのチャネルを通じてリーチするか」「どのように価値を提供するか」を記述します。
コミュニケーション、流通、販売チャネル、アフターフォローなど、商品やサービスの提供ルートや、プロモーションの手段を設定します。

【4】 顧客との関係(CR:Customer Relationships)

特定の顧客セグメントと、「どのような関係を構築するか」を記述します。
対面、電話、オンラインなどがあり、フェーズや目的によって適切な関係は異なってきます。
チャネルと混同しやすいですが、チャネルは顧客とのタッチポイント、媒体や場所を指し、関係は手段を指すと考えてください。

【5】 収益の流れ(RS:Revenue Streams)

顧客は「どのような価値にお金を払うのか」「何にお金を払っているか」「どのようにお金を払っているか」を決定します。
マネタイズのポイントや、収益の流れを記述します。固定価格、安売り、オークション、プリペイド、サブスクリプションなど、課金形態や課金メニューを検討します。

【6】 リソース(KR:Key Resources)

「価値を提供するのに必要なリソースは何か」という、ビジネスモデルの実行に必要な資産を記述します。
資材や機械といった物理的な資産以外にも、知的財産や人的リソースなども含まれます。
また、会社が所有しているものもあれば、リースやパートナーからの提供リソースもあります。

【7】 主要活動(KA:Key Activities)

「価値を提供するのに必要な主要活動は何か」という、ビジネスモデルの実行のための重要な活動を記述します。
製造、サプライチェーンマネジメント、市場調査、人材採用など、必ず実行しなければならない重要なアクション、価値提案の差別化の最重要要因となる活動にフォーカスします。

【8】 パートナー(KP:Key Partners)

ビジネスモデルを構築するサプライヤーとパートナーのネットワークについて記述します。
代替のきかない協業相手を記述します。
顧客とパートナーが重複する場合もありますが、お金を支払う相手はパートナーに、お金を頂戴する場合は顧客セグメントに記述します。

【9】 コスト構造(CS:Cost Structure)

ビジネスモデルを運営するにあたり発生するコストを記述します。
固定費と変動費を分けて考えるとわかりやすくなります。
このコストによって、主な活動やリソースの見直しを図り、変更することもあります。

9つの要素に関して、ビジネスモデルキャンバス上では、商品の価値である、「顧客に何を提供できるか?」という「価値提案」を中心に、「左側:自社のコスト」、「右側:顧客の状況と収入の流れ」の左右に分けることができます。

ビジネスモデルキャンバス における顧客の状況と収入の流れ

ビジネスモデルキャンバスの使用例

実際にビジネスモデルキャンバスの使用例を見てみましょう。

カーシェアリングのビジネスモデルキャンバスの例

この図は、駐車場運営を行う会社が、新たにカーシェアリングサービスを展開した際の事例です。
カーシェアリングという新しい車の保有スタイルが注目され始め、全国に駐車場を持つ自社でも新しいビジネスができるのではないかと考えました。
主な活動(KA)を考えていく中で、車両メンテナンス会社、コールセンター、駐車場システムと全て自社で行なっているものの、車の管理ノウハウが不足していることが分かりました。
1、2年でのノウハウ蓄積も難しいと判断し、キーパートナー(KP)としてレンタカーサービスを行っている会社をグループ化します。

また、新規事業を進めるにあたり、土地という主なリソース(KR)を保有していたことが大きな優位性となっています。
都心部では車よりも土地にかかるコストが圧倒的に大きいため、新たに土地を調達する場合は利益を出すことが難しくなっていたでしょう。

加えて、法人向けのカーシェアリング事業も強化しています。
顧客セグメント(CS)を考える中で、低コストで部分的に車を使いたい個人だけでなく、社用車としてリースを利用している法人向けにも価値提案(VP)できるのではないかと考えました。

リースの場合、購入するよりも経費削減できるものの、駐車場代や燃料費などの維持費がかかっていました。
カーシェアリングであれば、それらの費用も利用料金に含まれているため、さらに固定費や維持費も最小限に抑えられるというメリットがあります。

このように、新規事業/既存事業の新展開を考える際に、ビジネスモデルキャンバス上で整理をすることで、優位性や弱点の把握や、提供できる価値の発見につながります。

リーンキャンバスとは? ビジネスモデルキャンバスとの違い

リーンキャンバスの図

ビジネスモデルキャンバスと同じような1枚シートのビジネスモデル・フレームワークに、「リーンキャンバス」というものがあります。
起業家のエリック・リースにより発案されました。

リーンキャンバスは、ビジネスモデルキャンバスにおける顧客(右側)の解像度をあげたものと言えます。
そのため、ビジネスモデルキャンバスにおけるコスト要素(左側)が、リーンキャンバスでは左下のコスト構造に集約されています。

顧客の抱える課題やそれに対するソリューションや提供価値について、ビジネスモデルキャンバスよりも一歩踏み込んだ整理ができる一方で、コストを細かく捉えないと収益を計算することが出来ず、ビジネスとして成り立つのかを検証できないというデメリットもあります。

リーンキャンバスについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

■参考記事
【テンプレートDL可能】リーンキャンバスとは?新規事業に最適なその特徴から活用法までやさしく解説!

ビジネスモデルキャンバスを活用する3つのステップ

上記のように、1枚シートだけではビジネスモデルの検討には不足が生じてしまいます。
よって、ビジネスモデルキャンバスでビジネスモデル全体を理解しつつ、ズームイン・ズームアウトという3つのステップで検証・修正を繰り返し、ビジネスモデルをブラッシュアップしていく方法をおすすめします。

  1. ビジネスモデルキャンバスを使って、ビジネスモデルの全体像と、各ブロックの関係性を大まかに掴みます。
  2. ズームイン→リーンキャンバスやバリュープロポジションキャンバスなど、顧客によりフォーカスしたフレームワークを利用します。顧客イメージをより詳細につかむことで、自社の製品やサービスが提供する価値が、顧客セグメントと合っているのかを検証していきます。
  3. ズームアウト→アンゾフの成長マトリクス、事業環境マップなど、外部環境を掴むためのフレームワークを利用します。自社に影響を及ぼす外部環境を分析して、ビジネスモデルの再構築を図ります。

<バリュープロポジションキャンバス>

バリュープロポジションキャンバスについて説明した図

バリュープロポジションキャンバスとは、ビジネスモデルキャンバスの顧客セグメントと価値提案だけにフォーカスして可視化するためのフレームワークです。
ビジネスモデルキャンバスの生みの親であるオスターワルダー&ピニュールにより提唱されています。
右側の顧客セグメントの分析内容に合わせて、左側の価値提案に該当する内容を考えていきます。

顧客セグメントは下記に分かれます。

  • 「顧客の仕事:ターゲットが成し遂げたいこと」
  • 「ゲイン:ターゲットのメリット・恩恵」
  • 「ペイン:仕事をするにあたっての障害・リスク・悪い結果」
  • 価値提案は「製品・サービス:提供する製品やサービスの特徴」
  • 「ゲインクリエイター:製品・サービスによりゲインを増やす方法」
  • 「ペインリリーバー:製品・サービスによりペインを減らす方法」

バリュープロポジションキャンバスについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

■参考記事
バリュープロポジションキャンバスとは?基礎基本からやさしく解説!

<アンゾフの成長マトリクス>

アンゾフの成長マトリクスについて説明した図

アンゾフの成長マトリクスは、「市場・製品」軸と「既存・新規」軸で構成されるマトリクスを用いて戦略を考えるフレームワークです。
経営学者のイゴール・アンゾフにより提唱されました。
「市場浸透」、「新製品開発」、「新市場開拓」、「多角化」と4象限でとるべき戦略が変わります。

アンゾフの成長マトリクスについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

■参考記事
自社事業の成長戦略を考えるフレームワーク「アンゾフの成長マトリクス」とは?

<事業環境マップ>

事業環境マップの図

事業環境マップとは、自社に影響を及ぼす可能性がある外部環境を分析するためのフレームワークです。
「市場」、「産業」、「トレンド」、「マクロ経済」という外部環境の変化を捉えて、柔軟にビジネスモデルを変化させることができます。

ビジネスモデルキャンバス作成のポイント

実際にビジネスモデルキャンバスを作成する際には、以下の点に注意をしてください。

全てのブロックを埋める

ビジネスモデルキャンバスは、全体の関係性を見ることが重要です。
正確性や完全性にはこだわらなくて良いので、まずは全てのブロックを埋める意識をすることがポイントになります。
それでも埋められない未知の情報があれば、アンケート等で確認をして埋めていきましょう。
ここでは時間をかけ過ぎず、可能性があるものはどんどん書き出しておくと良いです。
複数人で進める際は、付箋を使うのもおすすめです。

全体像の把握と変数の確認をする

新規事業を考えたいという場合も、実際に書き出してみると、既存事業の「チャネルのみ変更」、「顧客セグメントのみ変更」という場合も少なくありません。
全体像を把握することで、新しくやるべきことは何か、既存のものを活用できるのはどの部分かを整理することができます。
既存事業の見直しの場合も、キャンバス上のどこを変数とするのかを確認することで、より効率的な事業開発、事業推進が可能になります。

新規・既存事業を成功させるためには?

ビジネスモデルキャンバスと、活用のための3つのステップをご紹介しました。
まずはビジネスモデルキャンバスを埋めるところから始め、ズームイン・ズームアウトで他のフレームワークを組み合わせながら検証・修正を繰り返すことでビジネスモデルをより強固なものにすることが重要です。

とはいえ、どんな手法やフレームワークでも、ただそれを知っているだけではビジネスの結果には結びつきません。
結果として実らせるためには、実際に実践する中で経験を積み、手法を自分のものにしてゆく必要があります。

では、手堅く、リスクを最小限に実施するにはどうしたら良いのでしょう?

そこで、「実績のある経験者のプロセスを参考にする」ことも一つの作戦だと思います。

ニジボックスは、リクルートの新規事業研究機関から誕生した経緯があります。
リーンキャンバスをはじめとする様々なフレームワークを、新規事業で使用し、ビジネスの価値検証を重ねてきました。

今回、ニジボックスが磨き上げてきたノウハウの一端を資料としてまとめ、公開することにしました。

また、下記資料にて、これまでニジボックスがUXデザインを用いてどのようにビジネス立ち上げや成功を支援してきたのか、ビジネスフェーズごとに実施例を一部ご紹介しています。

ご興味のある方はぜひお気軽に、下部リンクより資料を無料ダウンロードください!

参考文献・資料
・アレックス・オスターワルダー&イヴ・ピニュール(2012)「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」翔泳社.
・今津美樹(2014)「図解 ビジネスモデル・ジェネレーション ワークショップ」翔泳社.
・「なぜ顧客はそれを欲しがるのか? 提供価値を見出すフレームワーク『バリュー・プロポジション・キャンバス』」, [online]
https://www.fusion.co.jp/column/2016/09/ValuePropositionCanvas/ (参照 2019-8-3)
・「事業の成長戦略を考えるフレームワーク「アンゾフの成長マトリクス」【テンプレート掲載】」, [online]
https://www.kikakulabo.com/tpl-am/?fbclid=IwAR2yvOJ20y2LDjoiayVblwfQOZWx4RcnlutnA7u3sR7NdKmrs9OBVuLikOo(参照 2019-8-3)
・「事業環境マップとは? 時代・環境の変化に対応したビジネスモデル創造に」, [online]
https://media.bizmap.tokyo/item-map/about-item-map/?fbclid=IwAR3IXBERNZnxD7VgyejuFf5egbZpO69gTmPbE-Cp5LxlMzUFMhqT-4gJt-k
(参照 2019-8-3)