
ビジネスモデルとは?定番6モデルからより良いビジネスモデルを作る3つの条件まで、やさしく解説!
「あのビジネスモデルは斬新だ」「このビジネスモデルは時代遅れだ」など、普段何気なく使うビジネスモデルという言葉。
そもそも、ビジネスモデルとはどんな意味なのでしょうか?
また、それを構築する上で必要なこととは?
この記事では、「これからのビジネスモデル」に必要な考え方を具体的な事例とともに解説します。
ビジネスモデルとは「価値を創造し、提供する仕組み」である
まずは、ビジネスモデルに関する基本的な知識を押さえておきましょう。
ここでは、
- ビジネスモデルの定義
- ビジネスモデルの定番パターン
について簡単に解説します。
そもそもビジネスモデルとは?
ビジネスモデルの定義には、さまざまなものがあります。
シンプルに「儲けのための仕組み」と定義する人もいれば、
カネ、モノ、ヒト全てを包括した「ビジネス全体を円滑に進めるための仕組み」
と捉えている人もいます。
また、ビジネスモデルに関して世界的な権威である「アレックス・オスターワルダー」の著書(※)『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』によれば、以下のように定義されています。
(※イヴ・ピニュール共著、小山龍介翻訳)
ビジネスモデルとは、どのように価値を創造し、顧客に届けるかを論理的に記述したものである
つまり、ビジネスモデルは、
- 価値を創造し
- 価値を提供する
ための設計図である、といえます。
ビジネスモデルの定番6パターン
ビジネスモデルにはパターンがあります。
今までの歴史の中で生み出されたそのパターンは、細分化すれば数十種類にも及びますが、
ここでは、身近に見かける機会が多く、実感として理解しやすい6つのパターンを紹介します。
どのモデルパターンも、
「どんな価値を創造し」
「どのように価値を提供している」
のかに着目しながら見てみましょう。
- 販売モデル
- 小売モデル
- 広告モデル
- サブスクリプションモデル
- フリーミアムモデル
- マッチングモデル
商品を作って売るという、最もシンプルなモデルです。
身近なところでいくつも例を見つけることができるので、イメージもしやすいでしょう。
シンプルであるがゆえに、商品の質の高さが重要です。
(例)メーカーが工場で製品を作り、販売する
商品を仕入れて売るビジネスモデル。
商品自体での差別化は難しいので、バリエーションやディスプレイが勝負を分けます。
(例)コンビニがお菓子を仕入れて販売する<
自社媒体に広告を掲載することで、掲載料をもらうビジネスモデルです。
インターネットの登場により、従来より媒体も広告の種類も急増しました。
(例)テレビ局がCMのスポンサーから掲載料をもらう
継続課金型モデル。
毎月(毎週、毎年なども)一定のサービスを提供する対価として、ユーザーに一定金額課金してもらいます。
「サブスク」と呼ばれ、近年スタートアップ界隈では一般化しています。<
(例)携帯電話の事業者が、毎月利用者から利用料をもらう
一部のサービスを無料で公開し、
より多くのサービスを希望するユーザーに、有料コンテンツを販売するビジネスモデルです。
日本でもベストセラーになった『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(クリス・アンダーソン著)によって、一躍有名になりました。
(例)マンガアプリサービスの運営において、有料の最新話を読みたい読者向けにアプリ内コインを販売する
需要と供給をつなげ、その手数料をもらうビジネスモデルです。
不動産仲介業など古くからある業種から、最新テクノロジーを駆使したIT系まで、さまざまな種類があります。
(例)クラウドソーシングサイトがユーザーから手数料をもらう
「良いビジネスモデル」3つの条件
ここまでは、一般的なビジネスモデルについて簡単に解説しました。
しかし、みなさんが知りたいのはその先にある、筋の良いビジネスモデルやその構築の仕方だと思います。
まずは、「良いビジネスモデル」とは何か、について考えてみましょう。
本記事の冒頭で、ビジネスモデルは「価値を創造し、提供する設計図」と定義しました。
ならば、良いビジネスモデルとは「有益な価値を創造し、それを求める顧客に提供できる設計図」といえるのではないでしょうか。
そのために必要な条件は以下の3つが考えられます。
「継続性」とは、儲けの仕組みができていることで、収益を上げるビジネスを展開できることです。
「模倣困難性」とは、オリジナリティがあり、その会社だからこそできるビジネスであることです。
この2つの条件が揃っているビジネスモデルであれば、会社及び事業の持続可能性が担保されます。
しかし、一番重要なのが3つめの「最大化された提供価値」です。
これは何を意味するのか、なぜ重要なのかは、次項で詳しく解説していきます。
なぜビジネスモデルは「最大化された提供価値」が重要なのか?
「提供価値」とはそもそも何のことでしょうか?
そして、「最大化される」とはどういうことなのでしょうか?
これを知るためには、ビジネスモデルのフレームワークとして有名な「ビジネスモデルキャンバス」を知る必要があります。
ビジネスモデルキャンバスの中央に位置している「提供価値」
ビジネスモデルキャンバスとは、先に登場したアレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールによって発案されたビジネスモデルを可視化するためのフレームワークです。
リソースやチャネル、顧客との関係など、ビジネスモデルを9つの要素に分解し、それぞれの関係性を可視化することができます。
そして、ビジネスモデルキャンバスの中央に位置している(最も多くの要素と関係性が深い)ものが「提供価値」です。
つまり、提供価値とはビジネスの根幹と捉えられ、それほど重要な要素であるといえます。
ビジネスモデルキャンバスについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
■参考記事
ビジネスモデルキャンバスとは?活用のための3つのステップ
新しいモノより、新しい体験
ここで、「提供価値=提供する商品・サービスのこと」と捉えてしまうと、正しい理解ができなくなります。
商品やサービスも「価値」であることは正しいのですが、あくまでひとつの要素であり、イコールではありません。
そもそも「価値」とは相対的なもの。
同じ商品でも、受け取る人によってその価値は変動します。
さらに、受け取る人が同じでも、その場所や時間、その人の精神状態などによっても大きく価値は変わってきます。
「ペットボトルの水は日常では100円でしか売れないが、砂漠にいる人になら1000円で売れる」というたとえがあります。
つまり、相対的なものである価値を最大化させるには、
その価値が顧客に対して「有益な/便利な/今までにない/素晴らしい体験になる」ように考える必要があります。
特に、日本のようにある程度「モノ」に困ることの無いほど成熟した社会においては、「新しいモノ」よりも「新しい体験」によって、提供価値を最大化させることがビジネスにおいて重要です。
ビジネスモデルを考えるときも、この提供価値の最大化を意識しないと、そもそもビジネスとして成立しないリスクが高くなるのです。
これからのビジネスモデルを考える上で欠かせない“UX”
新しいビジネスモデルを考えるとなると、
「何か斬新なアイデアで今までにない商品を生み出さなきゃ!」と頭を抱える人は多いでしょう。
でも、ここまで読んだ方なら、必ずしも「斬新な商品」が無くても良いビジネスモデルが作れることが理解できていると思います。
むしろ、飛び抜けた商品を発案することよりも、さまざまな要素と組み合わせて「顧客の体験」まで設計することが、これからのビジネスモデルには重要なのではないでしょうか。
体験=UXがカギになる
つまり、“UX”こそがカギになるのです。
「UXとは、ユーザーが、会社や製品・サービスと接触・利用した際に得られる体験・感情の総称」です。
※UXについて詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ(https://nijibox.jp/blog/what_ux/)
ファミリーカーを例に、もう少し詳しく説明しましょう。
ユーザー(=家族)は、利用したときに次のような体験をします。
- 大きな車内空間なので、育ち盛りの子供と一緒でもゆったり乗れた
- 揺れが少なく運転しやすいので、居心地が良いと感じた
- 低床なので、キャンプの荷物の出し入れがラクラク
- スライドドアなので、子供も安全に乗り降りできた
- 燃費が良いので、お財布に優しいと感じた
…これら全てが「UX」です。
単に「車内が広い」「運転しやすい」といったスペックやユーザビリティではなく、
それによって得られる体験や感情がUXです。
モノ(商品・サービス)は、私たちの身の回りにたくさんあります。
これからビジネスモデルを考える場合、商品の力だけで差別化できることは稀であると考えた方が良いでしょう。
もう一度ファミリーカーを例に出すと、スペックやユーザビリティだけでは他社の車との違いを明確に出すことは困難です。
しかし、UXという視点で考えれば、まだまだ新しいアイデアが生まれる可能性があります。
UXを起点に考えるビジネスモデル
だからこそ、私たちは「UX」からビジネスモデルの発案をスタートさせることが重要と考えています。
特定の顧客がいるのであれば、その顧客にどんな体験をしてもらえれば、提供価値を最大化できるのか考えてみましょう。
特定の顧客がいないのであれば、何か課題を抱えている人を探し、それを解決するためには、どんな体験を提供すれば良いのかを考えてみましょう。
まずはそう考えることが、ビジネスモデルを生み出す上で必要な作業です。
UX設計によって成功したビジネスモデル
最後に、UXの設計で多くの顧客を獲得し、今でも人気を集めている事例を紹介しましょう。
■参考URL
https://www.academyhills.com/note/opinion/11031801_ABC.html
料理教室で有名な「ABC Cooking Studio」の事例です。
従来の料理教室は、
- 花嫁修業の場
- お金に余裕のあるマダムのための場
でした。
それゆえ、比較的高単価ではあるものの、教室に通う顧客の数は少なく、どこか「限られた人のためのもの」というイメージでした。
その定説を覆したのがABC Cooking Studioです。
現在では、
- 趣味が料理だから
- 料理が上手くなりたいから
といった若い女性が多く集まる場となっています。
ABC Cooking Studioは、どんなUXを設計することで新しい顧客の獲得に成功したのか見ていきましょう。
- オープンな立地、教室空間にすることで敷居を下げた
- 講師を選択制にしたことで自由度を高めた
- 1クラスあたりの人数を少なくし、講師とのコミュニケーションの双方向性を高めた
…など。
わかりやすくいうと、「気軽に通えて、楽しく料理を学べる」というUXを設計したのです。
この今までの料理教室にはなかったUXが、「なんとなく料理が上手くなりたいかも」という潜在的なニーズをうまく刺激しました。
おそらく、商品先行で考えていたら、このビジネスモデルは生まれなかったでしょう。
つまり、「料理のスキルを教えること」だけに捉われていたら、教え方のうまい講師は揃っているかもしれませんが、
どこか閉鎖的で敷居の高い料理教室になっていたはずです。
UXを起点として考えたからこそ、従来の常識に捉われない新しいビジネスモデルが生まれたのですね。
このように、少し視点を変えてみることで、新しい顧客を獲得したり、従来の顧客の満足度を高めることが可能です。
まとめ
ここまで、定番のビジネスモデルから良いビジネスモデルの条件まで説明してきました。
とはいえ、どんなに良いビジネスモデルでも、ただそれを知っているだけではビジネスの結果には結びつきません。
結果として実らせるためには、実際に実践する中で経験を積み、手法を自分のものにしてゆく必要があります。
では、手堅く、リスクを最小限に実施するにはどうしたら良いのでしょう?
そこで、「実績のある経験者のプロセスを参考にする」ことも一つの作戦だと思います。
ニジボックスは、リクルートの新規事業研究機関から誕生した経緯があります。
様々なビジネスモデルの新規事業に携わり、ビジネスの価値検証を重ねてきました。
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