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顧客の事業フェーズに合わせたニジボックスの事業支援の進め方を解説

更新日 2022.9.29
顧客の事業フェーズに合わせたニジボックスの事業支援の進め方を解説

皆さん、こんにちは。ニジボックスでUXデザイナーをしている江頭と申します!

前回は、わたしたちニジボックスがUXデザインコンサルティングを行っているということについてご紹介しました。

そこで今回は、ニジボックスによる事業支援はどのように進められていくのか、また、事業フェーズによってどのようにコンサルティングを進めていくのかをお伝えします。

「新規事業開発をしたいけれど、何から手を付ければよいかわからない」とお考えのかたへ、少しでもお役に立てれば幸いです!

検証と制作を繰り返しながら二人三脚でビジネスモデルを開発

前回のエントリーで、ニジボックスが提供するUXデザインコンサルティングにはこんな特徴があるということをお伝えしていました。

クライアント様の声を聞きながら、検証と制作をていねいに繰り返していくのもニジボックスのコンサルティング業務の特徴です。

事業開発前にミーティングをして、コンサルティングをさせていただいて、それで終わり、というわけではなく、何度も何度も検証と制作を繰り返します。

そのときに使うのが、「デザイン思考」や「リーンスタートアップ」「顧客開発モデル」「ビジネスモデルキャンバス」といったツールや考え方。今回は、クライアント様に納得していただけるビジネスモデル開発のために不可欠な「ビジネスモデルキャンバス」がどのようなもので、事業フェーズによってそれをどのように使っていくのかを説明します。

ビジネスモデルキャンバスとは?

そもそもビジネスモデルとは、事業を継続して存続できるようにするための「利益を得る仕組み」のこと。そして、それを可視化するのがスイスのコンサルティング会社Strategyzer社によって世界中に展開されている「ビジネスモデルキャンバス」です。

可視化してあれば、現在の状況の確認や認識をお互いに共有できますよね。

共有する中身は、「価値提案」を中心に、「顧客との関係」「チャネル」「顧客セグメント」といった3つのマーケティング要素、「主要活動」「リソース」「パートナー」といった3つの組織体制やマネジメントなどのバックエンド要素、そして「コスト構造」「収益の流れ」といった2つの収益・コスト構造要素の計9要素。

ビジネスモデルキャンバス

ここに、現在の状況や、仮説などを書き込む、または書き込んだ付箋を貼り付けて、フレームワークとしていきます。

定例会議の際は、このフレームワーク(ビジネスモデルキャンバス)をベースにディスカッションをしていくことになります。

ビジネスモデルキャンバスの9つの項目について

・顧客セグメント

プロダクトを届けるターゲットのこと。1つ以上の顧客セグメントが関係する

・価値提案

顧客の抱える問題を解決したり、ニーズを満たしたりする。ここで提案する価値は、顧客がそのプロダクトを選ぶ理由にもなる

・チャネル

価値の提案を顧客に届けるためのコミュニケーション、流通、販売などのこと

・顧客との関係

構築、維持すべき顧客との関係。セグメントごとに異なる

・収益の流れ

顧客に価値提案を届けた結果、生まれるもの

・リソース

これまでに挙げた要素を提供するのに必要となる「ヒト・カネ・モノ」などを含む資源

・主要活動

これらを行うための実際の活動

・パートナー

アウトソースされる活動や、社内から調達されるリソース

・コスト構造

ビジネスモデルの要素を決めるもの

ビジネスモデルキャンバス具体例

例えば、これまで30代40代向け化粧品を作ってきた企業が、新たに20代のマーケティングに入っていきたいと考えた場合のビジネスモデルキャンバスは、以下のようになります。

ビジネスモデルキャンバス例

まず、顧客セグメントに「女子力が高い女性(持ち物は全て可愛いもので揃えたい)」と書き入れます。そのようなターゲットへの価値提案は「持ち物を全て可愛いもので揃えられる」です。

では、「可愛いもの」にするにはどうすればいいかというと、「可愛く見える絵柄をデザインする、可愛く見える絵柄を研究する」ということが必要になります。これは主要活動の欄に書き入れます。

その結果、人気の高いキャラクター「A」が浮上してきました。

そこで、その「キャラクターAのライセンスを持つ企業」がパートナーになります。

顧客との関係は、ここでは20代が「なりたい」と思うような「かわいい女優を用いたTVCM」で構築を開始します。そして、維持のため「定期的な絵柄の更新」「ディープクレンジングを皮切りに他の化粧品への展開」を行っていきます。

顧客とのチャネルは「店舗」と「自社ECサイト」。オンラインでも販売するため、パートナーには「決済会社」も書き込んでおきます。

この企業は、化粧品開発を長年手掛けてきたので、全て社内のリソースで「化粧品開発技術」を賄えます。

収益の流れは、顧客が購入する場所である「店舗」「ECサイト」、コスト構造は「制作開発費」「マーケティング費」「人件費」となります。

いかがですか? 何となく、どのようなものを書き込んでいけば、ビジネスモデルを可視化するフレームワークであるビジネスモデルキャンバスができるかおわかりいだけたのではないでしょうか。

ではこれをどのように活用していくのでしょうか。

ビジネスモデルキャンバスを活用するコンサルティング手法

化粧品会社が新しい市場(20代女性)を開拓するというフェーズを例として挙げましたが、ビジネスモデルの開発では、今、どのような事業フェーズにあるか、ということが重要になってきます。

そこで活用できるのがビジネスモデルキャンバスです。あらかじめ書き込んでおける要素は事業フェーズによって異なりますが、書き込んだ箇所はブラッシュアップを図ったり、書き込まれていない箇所はビジネスモデルキャンバスをベースにしたディスカッションの中で埋めたりしていきます。

ビジネスモデルキャンバスを使うことで、ユーザーのニーズにズームインしたり、マーケットリサーチ情報にズームアウトしたりして、全体としてバランスと整合性の取れたビジネスモデルを構築していくことができます。

現在の状況が可視化されるため、関係者全員が現状や課題、また何を検討しているかを共有でき、開発しようとしているビジネスモデルの妥当性についてもチームで検討するのに役立ちます。

事業フェーズは4タイプ

ニジボックスでは、クライアント様の事業フェーズをアンゾフの成長マトリクスを軸に定義しています。

アンゾフの成長マトリクス

アンゾフの成長マトリクス
「市場・製品」軸と「既存・新規」軸で構成されるマトリクス。自社事業を成長させていくための戦略を考えるフレームワークです。市場も製品も既存のものを使っていくのであれば「市場浸透」戦略で事業を成長させていくフェーズとなり、どちらも新規であれば、事業の「多角化」戦略フェーズであると定義します。

1. 市場浸透フェーズ

「既存製品×既存市場」で戦略を考えていくフェーズです。既存市場内でのシェア率を高めていくことがミッションとなります。

例えば、顧客一人あたりの購買額をアップさせるため既存製品をセット販売する、購買頻度を高めるため施策を打つ、といったことが方法として挙げられるでしょう。

ベースにしたいビジネスモデルキャンバスは、項目が全て埋まっている状態となります。

市場浸透フェーズ

市場に浸透させて事業インパクトを出すには、どこを見直す必要があるのかを検討していきます。例えば、顧客に届けるためのチャネルに問題があるのであれば、既存の(書き込まれている)販売経路を検討する、リソースが不足していることが判明したのであれば、採用活動に注力する、などです。

このような検討の結果、見直した項目はブラッシュアップが図られ、ビジネスモデルキャンバス自体がアップデートされていきます。

2. 新製品開発フェーズ

「新規製品×既存市場」で戦略を考えていきます。既に関係性があり、チャネルもある顧客に対して新しい製品をリリースしていくというのが、この戦略の方向性です。

必要なのは、既存顧客のニーズを改めて調査し、既存製品では解決できない課題に対応する製品を開発すること。

ベースにしたいビジネスモデルキャンバスは、顧客セグメントの項目のみが埋まっている状態です。

新製品開発フェーズ
新たに埋めたいのが「価値提案」。そのため、既存顧客に対し、どのようなニーズがあるかをインタビューなどを通して調査していきます。

調査を行うことで、価値提案の項目は埋まりますし、顧客セグメントの項目もブラッシュアップが図られていきます。

3. 新市場開拓フェーズ

「既存製品×新規市場」は「新市場開拓戦略」となります。既存製品をどのように新しい市場に展開していくのか、ということを考えるもので、前述の化粧品会社の例と同じものなので想像しやすいかもしれません。

新しいターゲットを開拓するためのアプローチ方法を考えていきます。

この場合のビジネスモデルキャンバスでは、大分類であるマーケティング要素以外が埋まっている状態。

新市場開拓フェーズ

既存製品の情報をもとにユーザーインタビューを行い、どんな価値提案が市場に刺さるかを検証していきます。

これによって、顧客セグメントの項目は埋まりますし、仮説を立てていた価値提案の項目もブラッシュアップが図られます。

4. 多角化フェーズ

「新規製品×新規市場」で戦略をたてるのが「多角化」フェーズです。新しい製品を新しい市場に対して展開していきます。

成功すれば、大きなリターンが待っていますが、製品も市場もゼロスタートのため、4つのフェーズの中では最もリスクの高い領域でもあります。

多角化フェーズのベースとなるビジネスモデルキャンバスは次のようなものです。

多角化フェーズ

どの項目も、これから埋めていく状態です。

まず埋めたいのは事業の核となる「価値提案」。そのため、どのようなニーズが市場にあるのかを検証するユーザーインタビューを行っていきます。

これにより、顧客セグメントと価値提案の項目は埋められていきます。

まとめ

このようにニジボックスでは、クライアント様に納得していただける形で事業開発を支援できるよう、事業が今どのようなフェーズにあって、今後どのように成長させていくのか、という段階に応じたコンサルティングを行っています。

チームとして一緒に考えていくためのツールとして使うのは、ビジネスモデルキャンバスです。ここに、ビジネスモデルの重要な要素をまとめていき、ディスカッションしたり検証したりする中で、記入済みの項目はブラッシュアップし、未記入の項目は埋めていきます。そうして状況を可視化することで、根本的な課題解決を行ったり、ビジネスを成功へ導いたりすることができるということをおわかりいただけたのではないかと思います。

とはいえ、どんな手法やフレームワークでも、ただそれを知っているだけではビジネスの結果には結びつきません。
結果として実らせるためには、実際に実践する中で経験を積み、手法を自分のものにしてゆく必要があります。

では、手堅く、リスクを最小限に実施するにはどうしたら良いのでしょう?
それは、「実績のある経験者のプロセスを参考にする」ことも一つの作戦だと思います。

ニジボックスは、リクルートの新規事業研究機関から誕生した経緯があり、様々なビジネス手法を実際にリクルートの新規事業でも数多く実施し、検証を重ねてきております。

また、下記資料にて、これまでニジボックスがUXデザインを用いてどのようにビジネス立ち上げや成功を支援してきたのか、実績を一部ご紹介しています。

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また、ニジボックスでは随時UXデザインに関するご相談をお受けしています。
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監修者
監修者_丸山潤
丸山 潤
元ニジボックス 執行役員、TRTL Studio株式会社 CEO、その他顧問やエンジェル投資家として活動

コンサルティング会社でのUI開発経験を持つ技術者としてキャリアをスタート。リクルートホールディングス入社後、インキュベーション部門のUX組織と、グループ企業ニジボックスのデザイン部門を牽引。ニジボックスではPDMを経てデザインファーム事業を創設、事業部長に就任。その後執行役員として新しいUXソリューション開発を推進。2023年に退任。現在TRTL Venturesでインド投資・アジアのユニコーン企業の日本進出支援、その他新規事業・DX・UX・経営などの顧問や投資家として活動中。

Twitter:@junmaruuuuu
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