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アンゾフの成長マトリクスとは?自社事業の成長戦略を考えるフレームワークをやさしく解説!

アンゾフの成長マトリクスとは?自社事業の成長戦略を考えるフレームワークをやさしく解説!

2020.2.21
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ビジネスの成長戦略を考えるフレームワークの一つに、「アンゾフの成長マトリクス」があります。

このフレームワークは成長の可能性を可視化するツールとして、長く活用されています。

この記事では、「アンゾフの成長マトリクス」について、基本的な解説と具体的な活用方法を分かりやすく解説していきます。

アンゾフの成長マトリクスとは?

アンゾフの成長マトリクスを4象限で表した図
「アンゾフの成長マトリクス」とは、「戦略は組織に従う」という言葉で有名な経営戦略の父・経営学者イゴール・アンゾフによって提唱されたフレームワークです。

このフレームワークでは、「製品」と「市場」について、「既存」と「新規」で4象限に分類し、事業拡大の戦略を探索していきます。

アンゾフの成長マトリクスを用いることで、4つの戦略オプションの潜在的なリスクを考慮しながら、企業や製品の成長戦略を描いていくことが可能になります。

マトリクスで考える4つの成長戦略

マトリクスで整理すると、成長戦略は以下の4つに分類されます。

【1】 市場浸透戦略

もっともリスクの低い、ビジネスを展開しやすい戦略が、既存の市場(顧客)に既存の製品を販売する「市場浸透戦略」です。
顧客ひとり当たりの購買数や購入金額を増やしたり、購入頻度・リピート率を高めたりする施策を考えましょう。
例えば、セット割引やリピート割引といった価格設定での工夫や、アフターフォローの実施といったサービス上の工夫があります。

【2】 新商品開発戦略

2番目の「新商品開発戦略」は、既存の市場(顧客)向けに、新しい商品を開発する戦略です。
商品開発に対して、研究施設・製造設備・従業員など、新たに投資を進めていくことになるため、リスクは市場浸透戦略よりも高くなります。
関連商品や付属商品、バージョンアップ商品、機能追加商品の販売などがあります。

【3】 新市場開拓戦略

3番目の「新市場開拓戦略」は、既存の製品を新しい市場(顧客)に販売していく戦略です。
新しいエリアやターゲットなど、これまでアプローチしてこなかった市場(顧客)の開拓を行います。
ただ、事業の拡大が見込める適切な市場を特定するためには、さらに専門的な調査・分析が必要になるため、市場浸透戦略よりもリスクが高いと考えられています。
地域から全国、日本から海外といったエリア戦略や、女性向け製品を男性向けに、子ども向け商品を大人向けにといったターゲット変更戦略が挙げられます。

【4】 多角化戦略

最終戦略は「多角化」であり、新しい市場向けの新製品を開発し、販売していきます。
これは、これまでになじみのない市場・製品分野への進出となるため、4つの戦略オプションの中で最もリスクの高い戦略とみなされています。
ただし、自社の既存事業の衰退に備えるためのリスク分散ができる戦略でもあります。

一般的には1の市場浸透戦略が一番易しく、4の多角化戦略が最も難しいと言われています

アンゾフのマトリクスを有効に活用するためには、それぞれの戦略のメリットとリスクを把握できていることと、費用対効果をある程度つかめていることが重要です。
それぞれを比較しながら、自身のビジネスアイデアにより適した戦略をとっていくことが肝要です。

多角化戦略における4つの方向性

なお、多角化戦略については、多角化の方向に合わせて「水平型」「垂直型」「集中型」「集成型」の4つに分類されます。

【1】 水平型多角化

アンゾフの成長マトリクス内、水平型多角化について説明した図
まずは、同じ分野での事業を広げる水平型多角化です。

例えば、乗用車メーカーがトラックの生産にも乗り出したり、清涼飲料水メーカーが日本酒の製造を始めたりと、乗り物・飲料といった大きなカテゴリーでは同じ分野に当てはまる多角化で、既存事業とのシナジー効果の高い戦略です。
市場浸透戦略や新商品開発戦略に近い領域の多角化と言えます。

【2】 垂直型多角化

アンゾフの成長マトリクス内、垂直型多角化を説明した図
次に、部品製造・調達といった製造工程の川上や、流通・販売といった川下に事業を広げる、垂直型多角化です。
例えば、完成車メーカーが原料調達や部品製造に関わったり、販売会社を作ったりする戦略です。

【3】 集中型多角化

アンゾフの成長マトリクス内、集中型多角化を説明した図
集中型多角化は、一見既存の事業とは関わりの薄い新規事業に見えるものの、コア技術や主要顧客などが関連している場合の多角化です。
例えば、フィルムメーカーが化粧品を作ったり、避暑地のワイナリーがブライダル事業を手がけたりといった戦略です。

【4】 集成型多角化

アンゾフの成長マトリクス内、集成型多角化を説明した図
最後に、最も難易度が高い集成型多角化を紹介します。
コングロマリット型多角化とも呼ばれます
例えば、自動車メーカーが金融事業や住宅事業に進出するケースです。
製品も市場もほとんど既存のものとの関連性がなく、シナジー効果が期待できないため、単一事業としてはリスクが高くなります
一方で、企業経営全体で見た場合に、業種の異なる複数事業を持つことができ、リスク分散が狙える戦略でもあります。

アンゾフの成長マトリクスの活用場面

アンゾフの成長マトリクスは、自社の既存事業が成熟、縮小、伸び悩みなどしていて、打開する方法を知りたいときに活用できます
事業のポートフォリオの範囲を視覚的に整理し、考えられる4つの戦略のうち、どこに注力するのが企業にとってより有益であり、潜在的にもリスクが少ないかを検討することが可能です。

また、以前ビジネスモデルキャンバスについての解説の際にご紹介したように、「ズームイン・ズームアウト」という3つのステップで検証・修正を繰り返し、ビジネスモデルをブラッシュアップしていく方法として、アンゾフの成長マトリクスを使用することも可能です。

■参考記事
ビジネスモデルキャンバスとは?活用のための3つのステップ

また、新規事業のプランニングの際には、ビジネスモデルに影響を及ぼす外部環境を事前に分析することで無用なリスクを避け、効率的に改善や再構築を図ることができます

まとめ

ここまで、アンゾフの成長マトリクスについて解説してきました。

ビジネスの成長戦略を企てていく上で、4つの戦略それぞれの特徴やリスクを把握し、より確度の高い意思決定ができるよう、フレームワークをうまく活用していくことが重要です。

とはいえ、手堅く、リスクを最小限にビジネスを成長させていくにはどうしたら良いのでしょうか?

そこで、「実績のある経験者のプロセスを参考にする」ことも一つの作戦だと思います。

ニジボックスは、リクルートの新規事業研究機関から誕生した経緯があります。
アンゾフの成長マトリクスをはじめとする様々なフレームワークを利用し、ビジネスの価値検証を重ね、成長戦略を描いてきました。

今回、ニジボックスが磨き上げてきた一連のノウハウの一端を資料としてまとめ、公開することにしました。

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参考文献・資料
・小野義直、宮田匠(2018)「ビジネスフレームワーク図鑑」翔泳社.
・「Using The Ansoff Matrix to Develop Marketing Strategy 」,[online]https://blog.oxfordcollegeofmarketing.com/2016/08/01/using-ansoff-matrix-develop-marketing-strategy/ (参照 2020-02-02)
・「How to Use the Ansoff Matrix to Analyze Risk 」, [online] https://tallyfy.com/ansoff-matrix-analyze-risk/ (参照 2020-02-08)
・「水平型多角化〜4つの多角化〜」, [online] http://globalance.co.jp/?p=249(参照 2020-02-03)